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インフルエンザ予防接種、する?しない?

 秋になり、そろそろインフルエンザの予防接種の時期になりました。でも、「インフルエンザの予防接種って必要なの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。日常診療でも、接種しても毎年インフルエンザにかかってしまうという患者さんの声をよく耳にします。薬もあるし、必要性が疑問視されても仕方ないのかもしれません。では、なぜ医者は予防接種を勧めるのか? これにはこんな理由があるのです。

 そもそも、インフルエンザ感染症がどういうものなのか、おさらいから始めましょう。インフルエンザは、感染すると、高熱が出るとてもつらい病気です。感染力も強く、家族全員がかかることもまれではありません。特に、小さなお子さんにはインフルエンザ脳症という怖い病気が引き起こされる危険性もあります。脳症は脳にダメージが来るため、障害を残してしまうこともあります。

 「予防接種してもかかってしまうのでは、無意味なのでは?」という声が聞こえそうですが、実は効いているのです。従来は「重症化予防」と言われていたように、つまり、前記した脳症の発生率を下げる効果があるのです。また、接種量も変化してきています。一昨年から、1回量が増量となりました。2回接種すると、A型では80%、新型では80%、B型では50%くらいの抗体陽転率があるといわれています。

 しかし、インフルエンザは短期間に変異を繰り返すウイルスなため、ワクチンと流行のウイルスの型(抗原性)が変わってしまっていることもあります。感染時にはいろいろなタイプのウイルスが体内に入りますが、体内でどのタイプが増殖してくるかは、その時々によるので、効果がしっかり出ないこともあるのです。また、感染したことはわかりますが、防御できたことは自覚できません。これが、効果を実感できない理由だと思います。

 また、ワクチンは、人工的に免疫に影響を与える作業のため、全く安全なものではありえません。また、現行のインフルエンザワクチンは鶏卵で培養しているため、卵アレルギーのある方では注意が必要です。

我が子に病気になってほしくないという思いは、どの親御さんも共通のはずです。接種するかどうかについては、その有用性と危険性をよくご理解のうえ、ご判断いただきたいものです。

プロフィール
石井ちぐさ先生

昭和大学医学部卒業後、病院の小児科勤務をし、主として救急疾患やアレルギー疾患の診療に携わる。ご自身も2児の母として奮闘中の、東京都東村山市「どんぐりキッズクリニック」院長。TV、雑誌など各メディアでも活動。

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