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父ちゃんからの手紙

Vol.12 ブラジル

林太郎へ

 父ちゃんがそちらを出るころはまだ寒かったけれど、少しは暖かくなりましたか? 今、父ちゃんがいるのは地球のちょうど裏側。ブラジル・リオデジャネイロのビーチです。

 ここはちょうど夏真っ盛り。まぶしいくらいに輝く白い砂浜に、色とりどりのパラソルが並んでいて、とてもきれいです。遠くからはカーニバルの太鼓やトランペットの音が聞こえてきます。

 そんなビーチの主役はなんと言っても御老人たち。若いお姉さんたちに負けないかわいい水着を着て、子どもたちより元気に遊んでいます。海に入って泳ぎ、浜でボール遊びをして、パラソルの下でビールを飲む。赤い水着を着た80歳を超えるおばあさんが言っていました。「人生は120パーセント楽しむものだ」ってね。父ちゃんと母ちゃんの何年も先の夢がここにあります。

公文健太郎プロフィール

1981年生まれ。1999年から、ネパールを舞台にドキュメンタリー写真を撮り続け、写真集やエッセイ、写真展などで発表。また、近年は世界各地にテーマを持ち、作品づくりを続けている。写真集に『大地の花―ネパール 人びとのくらしと祈り―』(東方出版)、『BANEPA―ネパール 邂逅の街―』(青弓社)、フォトエッセイに『だいすきなもの―ネパール・チャウコット村のこどもたち―』『ゴマの洋品店―ネパール・バネパの街から―』(ともに偕成社)などがある。2012年日本写真協会新人賞受賞。

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