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思いやりのある子に育てたかったら、まず、親から・・・

 「子どもは親の背中を見て育つ」と言います。まさに至言ですね。両親は子どもが生まれてからは、「思いやりのある子に育ってほしい」「友だちと仲良く遊ぶ子であってほしい」などと願って大事に育てます。この両親の思いは大変すばらしいのですが、実際の子育てのときに、親も、自ら優しい、穏やかな生活を過ごすようにしているのでしょうか。

 子どもは親のやることを見て育ちます。その親のやっていることの善悪についてはわからず、子どもは何の躊躇もなく受け入れて、自分も同じようにします。例えば、いっしょに親子で散歩にいったとき、パパがたばこを路上にポイ捨てしたり、途中で買った自販機のジュースの空き缶をポイ捨てしたりしても、大好きなパパがやることを何の疑いもなく受け入れて、やがて自分も同じことをしてしまいます。

 かつて子育てで親は子どもに何を望むかというアンケートがありました。その1位は「思いやりのある子に育ってほしい」でした。どの親も優しい気持ちで友だちと接して明るく育ってほしいことを願っているのです。

 しかし、その思いやりはどのように育つのでしょうか。答えはシンプルです。それはズバリ親が思いやりのある大人であってほしいということです。両親がお互いにいたわりあって、優しい雰囲気の中で生活する、近所の人たちとの穏やかな触れ合いを子どもに見せるといった、常に穏やかな表情を子どもに見せることが最良なのです。

 環境が人を作るということはあながち誇張したことではありません。冒頭に書きましたように、子どもは大好きな親のやることなすことを吸収して育っていきます。そして、ことの善悪に関係なく吸収するのも、また、幼児期なのです。小学生になると自我がそろそろ確立してきて、親のやることに第三者の目で見る余裕が出てきます。すると、親がそうしていることが悪いとわかっていても、自分もやっていいんだというはっきりした考えで実行してしまうことがあります。

 幼児が瑞々しい心を持っている間に、好ましい経験をたっぷりあたえ、そしてそれらが潜在的に蓄積していくことが、やがての友だち関係やモラル、思いやりの気持ちなどに好影響を及ぼしていくのです。ぜひ、そういった子どもに育つように、まずは、親から実践されますことを願っています。

池澤 純二

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